昨年の8月。
何気なく開いたSNSで、私は一つの衝撃的な映像を目にしました。
それはイギリスの治療院で、Manutheraという医療機器を使って腰の治療をしている動画でした。
まるで患者さんの身体が呼吸するように動き、緊張が解けていく様子に、私はただただ見入っていました。

直感で思いました。
これだ。これがあれば、救える人がいる。
私は普段から、医療機器の情報には常にアンテナを張っています。
すぐに詳細を知りたくて調べました。
しかし、日本には代理店がなく、情報はゼロ。
そこで、私は本社であるフィンランドのロジャー社に直接メールを送りました。
担当してくださったのは、現地の理学療法士のVill先生。
私の質問に何度も応えてくれ、細かく情報を共有してくれました。
何度もメールを重ねるうちに、私は確信します。
この機器があれば、腰痛に苦しむ多くの人を救える。
迷いはありませんでした。すぐに購入を決意し、注文の準備を始めました。
ところが、ここから思いもよらない大きな壁が立ちはだかります。
厚生局に確認したところ、日本には代理店が存在しないため、個人で医療機器を輸入することは法律上できないと言われました。
担当者の言葉ははっきりしていました。
「新田さんは輸入できません」
あまりにも想定外の回答に、言葉を失いました。
でも、どうしても諦めきれなかったのです。
何度も厚生局と話しても、答えはノー。
気づけば、何度も電話し、何度も頭を下げていました。
そして、ある時。
厚生局の担当者が、一つの方法を教えてくれました。
「この申請ルートなら、可能性はゼロではありません。ただし、受理される可能性は非常に低いです」
わずかな希望に賭けて、行政書士の先生とともに書類を作成しました。
申請内容を何度も考え、とにかく、できることはすべてやりました。
「これでダメなら、気持ちよく諦められる」
そう思えるほど、全力で取り組みました。
その過程で、心が折れそうになることも何度もありました。
そんなとき、背中を押してくれたのが、尊敬する孫正義さんの言葉です。
「脳がちぎれるほど考えろ」
この言葉に背中を押されました。
自分の脳を使い切る覚悟で考え抜き、やり抜きました。
数週間後、ついに返事が届きました。
「受理されました」
その瞬間、嬉しさよりも、身体の力が抜けたのを覚えています。
ようやく、ここまでたどり着いた。
諦めなかった先に、ようやく道が開けたのです。

今、私の手元にManutheraがあります。
この機器を使って、これから多くの腰痛に悩む方を救っていきます。
問い合わせから導入に丸1年かかりました。
簡単な道のりではなかったけれど、あの時の直感を信じて、本当によかった。
そしてこれは、始まりに過ぎません。
私がどれだけこの機器を活かせるか。
どれだけの人の人生を変えられるか。
それが、これからの私の仕事です。
さらに、私はこの機器を最大限に活かすため、フィンランドのロジャー社を訪れました。
現地では、Vill先生が、直接私に使い方やテクニックを丁寧に指導してくれました。

普段は何百人の前でセミナーを行っているそうですが、
「たった一人のためにここまで丁寧に教えるのは初めて」と言ってくれました。
しかも、「日本人を教えるのも、あなたが初めてだ」と。
この経験は、私の中で大きな誇りになっています。
そして、この技術を日本に持ち帰り、現場で実践していくことこそが、私の使命だと思っています。
