こんにちは。埼玉県志木市、にった接骨院の新田です。
今まで、いろいろな症例をご紹介してきました。今回は、私が一番難しいと感じている症例についてです。
私が一番難しいと感じるのは、肘関節の脱臼です。
以下のレントゲンをご覧ください。これは、12歳の女の子の肘です。
左が正常な肘関節の状態で、右のレントゲンが脱臼した状態です。
『脱臼』とは、骨と骨をつないでいる関節部分で、骨が本来の位置からずれてしまった状態を指します。
このような状態になると、痛みもひどく、相当な腫れも確認できます。
肘関節が脱臼すると、
神経、血管、靭帯、関節包の損傷や骨折などを合併している可能性があります。
それら全てに注意し、気を配りながら整復をしなければならない、大変リスクの高い施術になります。
『整復』とは、ずれた関節を元に戻すことです。
毎年、スキー場で救護をしていると、肘関節の脱臼をした方がたくさんきます。
大人も叫んでしまうような他の怪我とは比べ物にならないような痛みで、整復の際も非常に痛みます。
怪我人の苦しみを目の当たりにしながら、それでもリスクの高い整復を行うのには理由があります。
肘関節が脱臼した状態が続くと「フォルクマン拘縮」という症状が起こってしまう事があるのです。
『フォルクマン拘縮』とは、骨折・脱臼の未整復や、過度の腫れ、圧迫しすぎる包帯固定などにより、
血行障害が起こり、先端の手や指が固まってしまうなどの後遺障害です。
フォルクマン拘縮は、一夜にして現れ、一生治らない後遺症なので、
いち早く整復を行う事で、速やかに血流を回復し、後遺症のリスクを回避することが可能なのです。
この整復は、何度行っても慣れることがありません。
整復を的確に行うのは、他の部位の整復と同様です。
しかし、他の部位の怪我に比べ、非常に高いリスクを抱えても整復を行う覚悟が必要だからです。
それでも整復を行う。それは、後遺症を残さずに完治する為には必要な事だと考えます。